日本で唯一どこの宗派にも属さないお寺である覚王山日泰寺。
タイより拝受したお釈迦様の御遺骨を奉安するために仏教各宗派が協議して建立したお寺で、日本とタイのつながりを感じることができるお寺です。
名古屋中心部からほど近く、境内周辺にはおしゃれなカフェや雑貨屋さんも充実しています。
地下鉄でのアクセスも良いので、多くの観光客が訪れる人気の観光スポットです。
本記事では、覚王山日泰寺の歴史や見どころ、周辺観光スポットなどについてご紹介していきたいと思います。
日本とタイの友好のシンボル
タイで発見されたお釈迦様の御遺骨の一部を奉安している覚王山日泰寺。
開山に当たってはその場所についてさまざまな議論がなされたそうですが、最終的に市民が10万坪の土地を用意した名古屋に落ち着きました。
「覚王」は釈尊を意味する言葉で、開山当初は「暹羅(シャム)」から拝受した仏舎利(お釈迦様の御遺骨のこと)と言うことで「日暹寺」と呼ばれていたそうです。
現在は「タイ(泰)」にちなんで「日泰寺」となっています。
境内にはお釈迦様の御遺骨を日本へ贈ったラーマ5世の像もあり、在日タイ人の方も参拝に訪れるそうです。
日泰寺の歴史
お釈迦様の御遺骨が日本へ寄贈され、日泰寺が開山した発端は、明治時代に英領インドで発見されたひとつの壺でした。
お釈迦様が生まれた場所であり、当時イギリスの統治下にあったインドのピプラーワーでその壺を発見したのは、英国人駐在員のウィリアム・ペッペ。
古墳の発掘作業中のことで、壺の中には人骨が入っていました。
側面には紀元前3世紀ごろの古代文字で「この世尊なる佛陀の舎利瓶は釈迦族が兄弟姉妹妻子とともに信の心をもって安置したてまつるものである」と刻まれており、お釈迦様の御遺骨であることが判明。
それまで西洋ではお釈迦様は実在の人物ではなく、仏教は太陽の信仰の一種であるとの学説まで出ていた中で、お釈迦様の御遺骨の発掘はまさに世紀の発見と言えるものでした。
インド政庁はこの御遺骨を仏教国であるシャム(当時のタイ)に寄贈。
タイ王室が周辺の仏教国にも仏舎利の一部を分与していることを聞きつけた当時のタイ国弁理公使が下賜の勅諚を得て、日本にも寄贈されることになりました。
日泰寺の見どころ
では、日泰寺の見どころについてご紹介していきたいと思います。
奉安塔
タイから拝受したお釈迦様の御遺骨を奉安している場所。
伊東忠太による設計で、花崗岩で造られたガンダーラ様式の佛塔。
奉安塔前にある礼拝殿では各種法要が執り行われています。
お釈迦様の御遺骨である仏舎利が納められているのは2階部分です。
一般の参拝客が奉安塔の前まで行くことはできませんが、少し離れた通天門からお参りすることができます。
本堂
本堂に納められている御本尊「金銅釈迦如来像」は、日泰寺の開山にあたって国王から下賜されたシャム(当時のタイ)の国宝。
本堂内にはほかにも、タイ国王直筆で国王の紋章も施されている勅額や、日本になじみ深い花である菊とタイになじみ深い花である蘭を題材にした金子鷗亭の書画などがあり、日本とタイのつながりを感じることができます。
縁日など
覚王山日泰寺では、年間を通してさまざまなイベントが行われています。
特に、毎月21日の弘法大師の縁日にはさまざまな露店が立ち並び、多くの参拝客でにぎわいます。
覚王山は名古屋のなかでもおしゃれなまちとして知られています。
縁日では、タイとの交流やまちの活気に触れることができるとともに、おしゃれなまち・覚王山の雰囲気も感じることができます。
周辺観光スポット
さいごに、日泰寺周辺のおすすめ観光スポットについて見ていきたいと思います。
覚王山商店街
日泰寺の参道沿いにある昔ながらの商店街。
タイのグルメなどを取り扱うエスニックなお店からレトロな雰囲気漂うお店まで、和と異国情緒が共存した唯一無二の雰囲気が楽しめます。
すいどうみち緑道
地下鉄今池駅から続く静かな遊歩道。
たくさんの桜の木が植えられており、春には桜吹雪を眺めながら散歩を楽しむことができます。
古川美術館
名古屋の映画配給会社の創始者であった古川爲三郎が蒐集した近代日本画や油彩画、陶磁器類などのコレクションを収蔵・展示している美術館。
敷地内には数寄屋造りの建築物や日本庭園などもあります。
まとめ
覚王山日泰寺の歴史や見どころ、周辺観光スポットなどにについてご紹介しました。
日本とタイの友好のシンボルでもある日泰寺。
境内やその周辺にはタイと交流が感じられる建造物やお店もあり、ゆっくりと散策するだけでも異国情緒ある雰囲気を感じることができます。
また、異国情緒ある周辺にはおしゃれな雑貨店やレストラン、スイーツ店なども多く、女子旅にもおすすめ。
名古屋駅からのアクセスも良いので、観光の際にはぜひお参りに訪れてみてください。