かつて関東の覇者と呼ばれ、小田原城を拠点に巨大な勢力を誇っていた小田原北条氏。
その祖である北条早雲の名を冠し、小田原北条氏一族が眠る早雲寺は、歴史を感じられることはもちろん、周辺の豊かな自然を散策するのもおすすめ。
毎年11月には貴重な文化財も公開されます。
箱根温泉のなかでも特に人気の高い箱根湯本のすぐ近くにあるので、温泉旅行へ訪れた際にはぜひ立ち寄りたい場所です。
本記事では、早雲寺の歴史や見どころ、周辺の観光スポットについてご紹介していきたいと思います。
関東の覇者・小田原北条氏の菩提寺
箱根湯本の玄関口である箱根登山鉄道の箱根湯本駅から徒歩15分ほどの場所にある早雲寺。
周辺には豊かな自然が広がっており、温泉旅館やリゾートホテルが建ち並んでいます。
小田原城を中心に戦国時代の関東一円を治め、「関東の覇者」と呼ばれた小田原北条氏の菩提寺であったお寺が早雲寺です。
豊臣秀吉によって一族が滅亡した際に早雲寺も焼失してしまい、現在あるのは江戸時代に再興されたもの。
お寺の名前にもなっている北条早雲は、「最初の戦国大名」と呼ばれることもあり、低い身分から広大な領土を有するまでになった、まさに下剋上の申し子のような人物です。
そんな初代早雲から、二代氏綱、三代氏康、四代氏政、五代氏直まで、境内には小田原北条氏5代の当主たちが眠っています。
鎌倉時代末期に作られたと言われている鐘楼などの史跡や、戦国時代・江戸時代の文物を所蔵しており、毎年11月には境内で寺宝が公開されています。
また、境内にある枯山水の庭園も有名。
文化人として名高かった早雲の三男・長綱の作で、鎌倉時代の禅寺の流れを汲んだ造りになっています。
北条早雲と早雲寺
ここからは、早雲寺や小田原北条氏の歴史について見ていきましょう。
北条早雲は、もとは低い身分の出身であると言われており、伊勢宗瑞と名乗っていました。
北条氏を名乗り、順調に勢力を拡大していった早雲を祀るため、その息子の氏綱が建立したと伝わるお寺です。
京都大徳寺の僧侶・以天宗清を開山として招いて開いたと伝えられており、現在も臨済宗大徳寺派のお寺になっています。
早雲の死後に早雲寺を建立した息子の氏綱をはじめ、小田原北条氏の歴代当主の菩提寺とされ、早雲寺は箱根湯本の発展の一端になっているのではないかとも言われています。
小田原北条氏滅亡と早雲寺
関東で絶大な権力を握っていた小田原北条氏ですが、天下統一に王手をかけた豊臣秀吉による小田原攻めにより、滅亡への道をたどり始めます。
その際に秀吉が早雲寺付近に石垣山城、通称一夜城を築いて砦としたことから、早雲寺は焼失。
小田原北条氏も、血筋は絶えないものの事実上滅びの時を迎えます。
早雲寺の復興が行われたのは江戸時代に入ってからで、小田原北条氏の末裔や僧侶・菊径宗存たちの手によって境内が整備され、歴代の当主たちの墓が建てられました。
小田原攻めの際に多くを焼失してしまったため、戦国期の早雲寺は存在せず、江戸時代に出来たものであるとする説もあるそうです。
早雲寺の見どころと周辺観光スポット
では最後に、早雲寺の見どころや周辺観光スポットについてご紹介していきたいと思います。
早雲寺
今回ご紹介した早雲寺の見どころについてもう一度触れておきたいと思います。
小田原北条氏の歴代当主が祀られており、豊臣秀吉による小田原攻めの古戦場であるなど、史跡的な側面があり、戦国時代や江戸時代を偲ばせるものも所蔵しています。
境内の植物や夏のヒメハルゼミの声など、豊かな自然に囲まれた散策も楽しめるお寺です。
早雲寺林(早雲公園)
早雲寺の裏に広がる自然林。
豊かな自然を感じられる場所で、ある程度道が整備されているので散策やハイキングにぴったりです。
湯本熊野神社
箱根湯本駅から徒歩20分ほどの場所にある神社。
紀伊熊野三山の一つの熊野速玉大社の熊野速玉大神をお祀りしており、社殿の下に箱根最古の源泉である「惣湯」があることで知られています。
北条の武士たちが早雲寺へお参りする際に足を洗っていたことから、「北條氏の足洗いの湯」とも言われているそうです。
箱根温寮
箱根湯本に来たからには、ぜひ温泉も楽しんでおきたいですよね。
箱根湯寮は、日帰り型の温泉施設です。
日帰り旅行で早雲寺周辺を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみてください。
箱根湯本駅周辺
箱根湯本の玄関口である箱根湯本駅周辺には、土産物店やカフェなどが充実。
お土産選びやちょっとした休息などに利用できます。
まとめ
早雲寺の歴史や見どころ、周辺観光スポットについてご紹介しました。
小田原北条氏の歴史を今に伝える早雲寺。
周囲の豊かな自然と相まって、静けさの中に歴史の重みが感じられる場所です。
箱根湯本駅から徒歩で向かうことができるので、箱根へ温泉旅行する際はぜひ訪れてみてください。