朝ドラで話題を呼んでいる作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。
アイルランドで幼少期を過ごしたギリシャ出身の人物で、外国人という客観的な視点から明治日本を見つめ、人々が語り継いできた怪談の再話を通して古き良き日本の姿を見つめ続けました。
熊本や東京で暮らしていた時期もある八雲ですが、来日当初の時間を過ごし、妻とも出会った松江は特別なまちでした。
本記事では、松江のまちに今も残る小泉八雲ゆかりの地についてご紹介していきたいと思います。
八雲に深い影響を与えた「神々の国の首都」
日本の神話にも関心があった八雲。
彼は松江を「神々の国の首都」と表現し、歴史ある城下町と人々の素朴な生活の営みに深い感銘を受けました。
自身も日本風の生活を好み、着物を着て生活していた八雲は、外国人だからこそ持ちうる偏りのない視点で変わりゆく激動の明治日本とそこにまだ残っていた古き良き日本の姿を見つめ続けました。
松江の小泉八雲ゆかりの地
ここからは、松江市街地を中心に小泉八雲ゆかりの地についてそれぞれご紹介していきたいと思います。
小泉八雲記念館・旧居
小泉八雲の生涯と作品の世界を学ぶことが出来る小泉八雲記念館。
館内には遺品の数々や直筆の手紙、初版本などが展示されています。
偏りのない視点で日本の人々の営みを見つめ続けた八雲の「オープン・マインド」の精神を体感できる施設です。
記念館のすぐ隣には八雲とセツが5か月間暮らした武家屋敷である「小泉八雲旧居」が。
日本風の生活を好んだ八雲は江戸時代に建てられたこの純和風の武家屋敷で着物を着て生活し、作品を執筆しました。
左目を失明していた八雲が天板に顔を近付けて執筆しやすいようにと特注した背の高い机のレプリカもあり、実際に座ってみることも可能です。
塩見縄手・城山稲荷神社
「小泉八雲記念館」や「小泉八雲旧邸」がある松江城北堀に沿った通りは「塩見縄手」と呼ばれ、武家屋敷と堀の水面に写る緑のコントラストが美しい散策路です。
まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような風情ある街並みは、きっと小泉八雲が好んだ素朴で日本らしい文化が感じられる松江の風景そのもの。
堀の内側にある城山稲荷神社は境内のいたるところに狐の像がある神社で、八雲も通勤途中によく立ち寄っていたそうで、城山稲荷神社を舞台にした初代藩主・松平直正にまつわる怪談も記しています。
松江城
堀尾吉晴が築城した松江城。
天守は黒い下見板張りで覆われた外壁と実戦を意識した構造が特徴的で、「千鳥城」の異名を持ちます。
古き良き町並みが残る松江のシンボル的存在で、国宝にも指定されている貴重な現存天守のひとつです。
八雲の著書で松江城を「不気味で怪奇なものを寄せ集めた竜のようだ」と表現しており、城を舞台にした「ギリギリ井戸」などの怪談も執筆しています。
松江大橋・源助柱
日本の古き良き姿が残る松江のまちを愛した八雲。
松江大橋や宍道湖の風景もまた彼の心に印象深く残っていたようです。
八雲が松江を訪れたときは真新しい鉄製の橋が架かったばかりでしたが、江戸時代にはじめて松江大橋を架ける工事を行っていた際、源助という人物が人身御供となって建てられた「源助柱」という橋脚の話を書き記しています。
富田旅館跡
八雲が松江にやってきた当初に暮らしていた富田旅館。
大橋川沿いに位置する旅館で、現在の大橋旅館の隣に当たります。
富田旅館で3か月間暮らしたのちに宍道湖近くの家へ引っ越しました。
そこで初めて迎えた冬に風邪をひいて寝込んでしまった八雲の身の回りを世話するための女中としてやってきたのがのちに妻になるセツだったのです。
島根県尋常中学校跡
八雲が英語教師として約1年間にわたり教壇に立った尋常中学校と師範学校。
生徒や教員仲間などからは「ヘルン先生」と呼ばれ、親しまれました。
生涯の友人となった西田千太郎はこの島根県尋常中学校で教頭を務めていた人物。
松江では八雲にさまざまな場所を案内し、八雲が松江を離れた後も親交が続きました。
山口薬局
毎晩和菓子をつまみにビールで晩酌をしていた八雲。
当時の松江でビールを取り扱っていたのは橘泉堂山口卯兵衛商店(山口薬局)だけでしたので、八雲が飲んでいたビールもまたここで購入したものであると考えられます。
江戸時代中期の創業で、現在の建物は明治時代中期に建てられたもの。
店内には薬箪笥や古い薬瓶が並び、八雲の時代の雰囲気を彷彿とさせます。
出雲大社
松江からは少し離れますが、出雲大社もまた八雲と深い関わりがある場所。
八雲は日本人でも容易に立ち入ることのできない本殿への昇殿を許された最初の外国人で、その時の様子や感動を書き記しています。
「古事記」に強く心惹かれていた八雲にとって、非常に感慨深い経験であったことでしょう。
島根観光の際に参拝される方も多いかと思いますので、ぜひ八雲も歩いた場所であることに思いを馳せながら境内を散策してみてください。
まとめ
松江の小泉八雲ゆかりの地についてご紹介しました。
小泉八雲とその妻・セツが出会い、暮らした松江のまち。
八雲が愛し、そこにある物語を見つめてきた松江の景色は、今も私たちの心を強く動かします。
松江にはご紹介した場所以外にも八雲ゆかりの場所や八雲の作品に登場するお寺がたくさんありますので、ぜひまちを散策しながら八雲の怪談の世界に浸ってください。