牛若丸(源義経)が天狗と修行したという伝承でも知られている鞍馬寺。
1200年以上の歴史を持ち、「鞍馬弘教」の総本山であり多くの歴史上の人物が参詣に訪れただけでなく、鞍馬寺にまつわるさまざまな物語や伝承が人々に語り継がれてきました。
また、自然の宝庫と言われるほどの緑豊かな場所で、桜や紅葉といった四季の移り変わりを感じながら散策するのもおすすめです。
本記事では、鞍馬寺の歴史や見どころについてご紹介していきたいと思います。
数々の物語・伝承の舞台となった古刹
後の源義経である牛若丸と天狗の伝説や創建にまつわる毘沙門天の伝説、さらには「源氏物語」をはじめとした物語、「枕草子」、「更級日記」といった日記文学にも登場する鞍馬寺。
物語や伝承の舞台となったのはもちろん白河上皇や藤原道長といった、ときの権力者たち、武田信玄や豊臣秀吉、徳川家康といった戦国武将たちなど、名だたる歴史上の人物たちが参詣した由緒あるお寺です。
電車でのアクセスも良く、麓からケーブルカーも通っているためアクセスも便利で、現在も多くの参拝客が訪れています。
鞍馬寺の歴史
まずは、鞍馬寺のはじまりについて簡単に見ていきたいと思います。
鞍馬寺のはじまりは8世紀後半、奈良時代末期のこと。
唐招提寺を開いた鑑禎上人が夢のお告げと白馬の導きで鞍馬山に登ったところ、鬼女に襲われてしまいました。
それを助けたのが毘沙門天。
鑑禎上人が創建した毘沙門天をお祀りする草庵が鞍馬山の前身です。
その20年ほど後、桓武天皇による平安京遷都の際に造東寺長官・藤原伊勢人という人物がやはり夢のお告げと白馬の導きによって鞍馬山へとたどり着き、かねてからの念願であった観世音をお祀りする一宇の建立を「毘沙門天も観世音も根本は一体のものである」というお告げをもとに伽藍を整えて毘沙門天と併せてお祀りしたそうです。
やがて鞍馬寺は時の権力者が参詣に訪れるまでになり、清少納言、紫式部、菅原の孝標の娘といった王朝文学の女流作家たちの作品のなかにも度々登場します。
また、源義経が天狗とともに修行したと伝わるなど、武将たちにもゆかりのある鞍馬寺。
江戸時代になると桜の名所として広く知られるようになり、全国から多くの参拝客が訪れる人気の観光スポットになりました。
鞍馬寺の見どころ
仁王門(山門)
鞍馬駅から参拝に訪れる際、階段を上ると見えてくるのが朱色の仁王門。
現在の仁王門は明治時代に再建したものですが、左側の扉は12世紀に作られたものをそのまま利用しているのだそう。
門の両側に安置されている仁王像は鎌倉時代の仏師であの運慶の嫡男である湛慶(たんけい)の作と伝わっています。
九十九折参道
「枕草子」にも登場する九十九折参道。
「義経記」で義経が兵法の大家である鬼一法眼から兵法書『六韜』を盗んで学んだとの記述がある「吉鞍稲荷社」や、幼い日の義経・牛若丸の守り本尊である地蔵尊を祀っている「川上地蔵堂」など見どころが散見されます。
もちろんケーブルカーを使って登ることもできますが、余力がある方はぜひ周囲の自然を楽しみながら御堂の一つひとつに手を合わせて参道を進んでみてください。
由岐神社
西の藤原純友、東の平将門らによる反乱がほぼ同時に起こった承平・天慶の乱を機に御所内から遷宮された神社。
京都三大奇祭のひとつである「鞍馬の火祭」は、そうした都の混乱の最中に里人が篝火を手に神霊を迎えたことによると伝わっています。
国の重要文化財にも指定されている現在の拝殿は、豊臣秀吉の遺児・豊臣秀頼が再建したものです。
多宝塔
麓からケーブルカーを利用する際は、この多宝塔付近から九十九折参道へと合流します。
鞍馬山ケーブルは宗教法人が運営している国内唯一の鉄道なのだとか。
麓から多宝塔までは2分ほどかかります。
本堂金堂
千手観音菩薩・毘沙門天王・護法魔王尊が三位一体となった御本尊をお祀りする場所。
御本尊は60年に一度丙寅の年に開扉され、本殿の地下にある宝殿には信徒の清浄髪がお祀りされているそうです。
本殿金堂前の金剛床には星曼荼羅が描かれており、修行の場ともなっています。
霊宝殿(鞍馬山博物館)
1階は自然科学博物苑展示室、2階は寺宝展観室と與謝野寛・晶子の記念室、3階は仏像奉安室となっています。
自然豊かな鞍馬山の動植物や、鞍馬寺とゆかりの深い与謝野晶子・寛夫妻、鞍馬寺が所有する重要文化財などを見学することができる博物館です。
奥之院参道
霊宝殿から魔王堂へと至る山深い参道。
神秘的で厳かな自然が広がっており、随所に源義経にまつわる伝承が残っています。
このまま山道を行くと貴船神社へと続いていますので、ぜひあわせてご参拝ください。
まとめ
鞍馬寺の歴史や見どころについてご紹介しました。
物語や伝承の中に度々登場する鞍馬寺。
1200年の歴史と信仰が詰まった境内は豊かな自然に恵まれ、参道をゆったりと歩けば心身ともにリフレッシュできます。
ぜひ歴史と物語、そして自然にあふれた鞍馬寺へ参拝に訪れてください。