北陸地方の中で唯一天守が現存する福井県の丸岡城。
織田信長に仕えた戦国武将・柴田勝家の甥が築城したお城としても知られており、天守は国の重要文化財に指定されています。
歴史を感じる城郭構造はもちろん、桜吹雪の中の天守や、雪が降り積もる北陸ならではの姿など、その景観の美しさも魅力的です。
本記事では、丸岡城の歴史や見どころについてご紹介していきたいと思います。
丸岡城のはじまり
丸岡城が築かれたのは戦国時代のこと。
織田信長に仕えた猛将で「鬼柴田」の異名で恐れられた柴田勝家の甥である勝豊が、信長の命により築城しました。
その後安井氏、青山氏、今村氏と城主が変わり、江戸時代に入ってしばらくすると本多成重が入城。
本多氏は4代に渡って丸岡城を治め、城下町や用水の整備に努めました。
現存天守が築かれたのも本多氏が治めた時代であろうと考えられています。
丸岡城と有馬氏
本多成重から数えて4代目に当たる重益の時代になると、本多氏はお家騒動をきっかけに改易。
丸岡城へは越後糸魚川藩を治めていた有馬清純が入城します。
有馬氏の治世は明治維新まで続き、8代渡って丸岡城を治めました。
特に5代藩主・誉純は、税制改革や藩校「平章館」の設立に尽力し、福祉などにも力を入れました。
丸岡城の復興
丸岡城は、全国でも12しかない現存天守を保有するお城です。
江戸時代の一国一城令や城の新築・改修の制限により、城の天守閣は次第にその数を減らしていきます。
また、明治時代に出された廃城令によりその数はさらに激減。
昭和初期ごろには20ほどの天守しか残っていませんでした。
そのうち、名古屋城や広島城と言った8つのお城の天守は太平洋戦争時の空襲で焼失。
多くのお城の天守が失われていくなか、丸岡城も廃城令により櫓などの多くの建物が壊されるなどしましたが、天守は戦後も奇跡的に残され、一時は国宝にも指定されていました。
しかし、昭和23年6月の福井地震により丸岡は甚大な被害を受け、丸岡城天守も石垣を含め倒壊してしまいます。
絶望的な状況のなか、丸岡城はまちのシンボルとして人々に望まれ、元の部材の70パーセントを使用して復興されました。
解体修理工事の際の記録などから忠実に再建された丸岡城天守はその歴史的価値が認められ、現在は国の重要文化財に指定されています。
丸岡城の見どころ・周辺観光スポット
ではさいごに、丸岡城の見どころや周辺観光スポットについてご紹介していきましょう。
天守
外観は二層に見えますが、実は三層構造となっている天守。
1階部分と2、3階部分に通し柱がないため、1階部分で2、3階部分を支えている構造になっています。
瓦は笏谷石の石瓦で、総重量は何と120トンにもなるのだそう。
再建の際に造られた鯱は金属ではなく珍しい石製で、物資の乏しかった戦後の時代背景が読み取れます。
また、南側の天守台には供養塔の一部であろう転用石が用いられているので、ぜひ探してみてください。
石垣
戦国時代に築城された丸岡城は、自然石をほとんど加工しないまま積み上げていく「野面積み」という方法で石垣が積まれています。
大きな自然石を石の形やバランスを見ながら積み上げ隙間に小石を入れていく「野面積み」は、強度は高いものの、職人の優れた技術が必要な積み方です。
丸岡城のお祭り
丸岡城では、春と秋に大きなお祭りが開催されます。
桜が満開になる春に開催されるのが、「丸岡城桜まつり」。
夜には行燈によるライトアップが行われ、幻想的な風景が楽しめます。
行楽シーズンを迎える秋に開催されるのが、「丸岡古城まつり」。
武者行列や、甲冑姿の人々による綱引きなどを見学できます。
丸岡城観光情報センター「丸岡城マチヨリマーケット」
福井城や、福井城がある坂井市の魅力が紹介されている観光情報センター。
館内からは丸岡城が見え、雨の日でもお城の姿を快適に見ることができます。
土産物や地酒などを取り扱ったショップや、地元の食材を使用したメニューを提供するカフェも併設されているので、ぜひお城とあわせて訪れてみてください。
一筆啓上 日本一短い手紙の館
丸岡城にゆかりのある戦国武将・本多作左衛門重次が妻に宛てた「一筆啓上、火の用心、お仙泣かすな、馬肥やせ」という、日本一短い手紙とも言われている40文字のメッセージにちなんで建てられた施設。
坂井市が創設した「一筆啓上賞」を受賞した作品などを中心とした展示が行われています。
高岳寺
本多氏の改易後に丸岡城へ入城してきた有馬氏にゆかりのあるお寺。
前任の領地であった越後糸魚川から有馬氏を追って移動してきたお寺で、境内には有馬家が寄進した地蔵菩薩像などがあります。
まとめ
丸岡城の歴史や見どころについてご紹介しました。
北陸唯一の現存天守を持つ丸岡城。
福井地震での大きな損傷から復興した唯一の現存天守で、人々のお城に対する愛情が伝わってきます。
桜や雪のシーズンは特に美しく、春や秋にはお祭りも開催されるので、ぜひそれらのシーズンを狙って訪れてみてください。